はじめに:サイバーセキュリティの用語、ごっちゃになっていませんか?

情報セキュリティマネジメント試験の勉強を始めると、「CSIRT」「SOC」「IPA」「NISC」といった横文字が大量に出てきて、頭が混乱していませんか?
実は、私も同じ壁にぶつかりました。それぞれの役割や違いがイマイチわからず、ただ暗記するだけの勉強に苦労したのです。

似たような略語が多すぎて意味が分からない…!!
でも、大丈夫です。この記事は、そんな私と同じように用語の壁にぶつかったあなたに向けて書きました。
読み終わる頃には、複雑に見えるこれらの組織が、一つの「チーム」として動いていることが理解でき、試験問題の選択肢にも迷わなくなるはずです。
身構えず、軽い気持ちで読んでいただけたらと思います。それではいきましょう!
日本のサイバーセキュリティ組織:三層構造でスッキリ整理


情報セキュリティ関連の組織は、それぞれがバラバラに動いているわけではありません。
日本のサイバーセキュリティを守るための「一つの大きなチーム」として機能しています。
そのチームには、大きく分けて3つの役割があります。
- 司令塔:国全体をまとめる「司令塔」
- サポーター:企業や個人をサポートする「サポーター」
- 現場チーム:サイバー攻撃が起きたときに動く「現場チーム」
この順番で見ていくと、各組織の立ち位置がすっきり理解できます。
①司令塔:国全体の方針を決めるチーム


まずは、日本という国全体の安全を守るために活動している組織です。
特定の企業を守るのではなく、国全体という大きな視点で活動しています。
サイバーセキュリティ戦略本部
- 位置づけ:日本政府のサイバー分野における最上位の意思決定機関(内閣に設置)
- 役割:国の基本戦略や法律の方向性を決定
- 構成:本部長は内閣総理大臣、関係閣僚や有識者が参加
- イメージ:サッカーチームでいう「監督会議」。試合の方針(戦略)を決める場。
NISC(ニスク)
- 位置づけ:戦略本部の事務局・実行部隊(内閣官房に設置)
- 役割:決まった戦略を現場レベルに落とし込み、政府機関や重要インフラを指揮・調整
- 業務例:
- 政府機関のセキュリティ基準作成と監査
- サイバー攻撃の監視・情報共有
- 国際連携(海外政府との情報交換)
- 東京五輪のサイバー防衛
- イメージ:サッカーチームでいう「コーチ陣」。監督の方針を現場に伝え、試合運営を実務的に回す。
- サイバーセキュリティ戦略本部=「国として何をどう守るか」を決めるトップ会議
- NISC=決まった戦略を実際に動かす政府内の専門チーム
②サポーター:企業や個人を助ける組織


次に、国の方針に基づき、個々の企業や個人を支援する役割を担うチームです。
IPA(情報処理推進機構)
- 役割:IT人材育成、セキュリティ啓発、中小企業支援など
- 具体例:
- 情報処理技術者試験(ITパスポート等)の運営
- 毎年「情報セキュリティ10大脅威」の発表
- 中小企業向け「セキュリティアクション」制度での支援
- イメージ(サッカーチームで例えると):トレーナーやフィジカルコーチ
選手(企業・個人)がケガなく試合に臨めるよう、基礎体力や知識をつける役割。日々のセキュリティ体制や知識の向上を支えます。
JPCERT/CC(ジェイピーサート・シーシー)
- 役割:国内のセキュリティ事故情報を集め、分析・共有
- 具体例:
- 2017年のランサムウェア「WannaCry」流行時に被害情報を集約し、迅速に対策情報を公開
- 国内外の関係機関と連携し被害拡大を防止
- イメージ(サッカーチームで例えると):日本代表チームのアナリスト
国内外の対戦相手(サイバー攻撃)の戦術を分析し、「こんな攻撃に気をつけて!」とチーム(日本中の企業や個人)に伝えてくれる頼れる存在です。
- IPA=企業や個人がサイバー攻撃に負けない力をつけるための「育成・支援チーム」
- JPCERT/CC=国内外のサイバー攻撃や事故情報を集め、分析して共有する「情報ハブ」
③現場チーム:サイバー攻撃の「監視」と「対応」


ここからが、実際にサイバー攻撃が起きたときに動く、現場のチームです。
会社の「警備員」や「消防隊」として、密に連携して動きます。
SOC・CSIRT・PSIRTの役割をざっくり解説
【SOC】 まず、SOC(ソック)が会社の「見張り番」として、ネットワークを24時間365日監視します。不
審なアクセスなど、異常な動きがないか常に目を光らせています。
【CSIRT】 次に、SOCが「これは怪しい!」と異常を検知したら、すぐにCSIRT(シーサート)が「緊急対応チーム」として駆けつけます。
被害を最小限に食い止めるために、不正アクセスされたサーバーを切り離したり、原因を調査したりします。
【PSIRT】 そして、もし自社製品にセキュリティ上の弱点(脆弱性)が見つかった場合は、PSIRT(ピーサート)が「製品専門のチーム」として対応します。
脆弱性を修正するパッチを作成し、ユーザーへ知らせる役割を担います。
SOC・CSIRT・PSIRT 表まとめ
| 組織 | 役割 | 具体的な仕事 |
| SOC(ソック) | ネットワークを監視し、異常を検知する。 | 会社のシステムに不審なアクセスがないか24時間見張る。 |
| CSIRT(シーサート) | SOCの報告を受けて、具体的な対応をする。 | 不正アクセスされたサーバーを切り離し、原因を究明する。 |
| PSIRT(ピーサート) | 自社製品の脆弱性に対応する。 | 自社ゲームに脆弱性が見つかった際、修正パッチを作成し、利用者にお知らせを出す。 |
- SOC=システムやネットワークを24時間監視し、異常を見つける「見張り番」
- CSIRT=異常が見つかったときに対応し、原因調査や復旧を行う「緊急対応チーム」
- PSIRT=自社製品やサービスの脆弱性に対応する「製品脆弱性の対応チーム」
【過去問に挑戦!】これであなたも合格に一歩近づく!


ここまでの解説で、それぞれの組織の役割がざっくり理解できたはずです。ここからは、実際に過去問に挑戦して、知識が定着しているかを確認してみましょう。
問題1:情報セキュリティマネジメント 平成28年 春期 問1
CSIRTの説明として,適切なものはどれか。
ア IPアドレスの割当て方針の決定,DNSルートサーバの運用監視,DNS管理に関する調整などを世界規模で行う組織である。
イ インターネットに関する技術文書を作成し,標準化のための検討を行う組織である。
ウ 企業内・組織内や政府機関に設置され,情報セキュリティインシデントに関する報告を受け取り,調査し,対応活動を行う組織の総称である。
エ 情報技術を利用し,宗教的又は政治的な目標を達成するという目的をもった人や組織の総称である。
正解:ウ
解説 :CSIRTは、情報セキュリティインシデントの報告を受け、調査や対応を行う専門チームです。選択肢ウが、その役割を正確に説明しています。
問題2:情報セキュリティマネジメント 令和元年 秋期 問2
セキュリティインシデントの発生に備えて,平時からログの監視や分析を行う専門組織はどれか。
ア CSIRT イ ISAC ウ SOC エ PSIRT
正解:ウ
解説: SOCは、ネットワークの「監視」や「分析」が主な役割です。問題文にある「平時から」「監視」「分析」というキーワードから、SOCが正解だと判断できます。
まとめ:実例をイメージして、生きた知識を身につけよう!


今回は、サイバーセキュリティ関連の組織を、実務での役割や具体的な事例を交えて解説しました。
単語を覚えるだけでなく、『このチームはどんな仕事をしているか』をイメージすると、知識が定着しやすくなります。
机上の空論ではない、生きた知識を雑学的に身につけていくと、ぐっと理解がしやすくなることを私自身が勉強していて実感しました。
ITの仕事は、ITの知識だけでは成り立ちません。
経営や法律、そして今回のようなセキュリティの知識と密接につながっています。
だからこそ、ここでつまずかずに、「こういう視点も必要なんだな」と気づけたら、知識としてだけではなく、社会全体を理解する視野が広がっていきます。
難しい言葉にひるまずに、自分なりのイメージとことばで向き合えば大丈夫!
この記事が、あなたの「わかったかも!」につながっていたら嬉しいです。

